Sunday, June 3, 2012

保守主義の危機

母国では保守原理主義が急速に力を伸ばし、社会を占領するのである。特にイスラム教徒であるマレー族の若者たちが、イスラムを再現しようというスローガンで、数多くで宗教団体にリクリートされ、団体に入ったらその団体の考え方を頭に吹き込まれて、視野が狭くなってしまい原理主義者になってしまうと言うケースが多くなってくる。

これは著者の立場から見れば非常に危険性を持っている社会的な現象なのである。マレーシアは独立してからずっと多民族国家、或いは多様性を持っている国というアイデンティティで国家を発展させてきた。しかしながら、マレー族が人口の過半数であるマレーシアでは、やはりマレー族が政治的権力を占領しているのでマレー族の意志にしたがってマレーシアが立国された。

それでマレーシアではイスラム教が国家宗教になっており、その方針があるためマレーシアの文化の発展、そして教育制度がイスラム教から大分影響を受けてきた。学校に通っているムスリムの女子学生がヒジャブを校則としてかぶらせたり、ムスリムの学生がイスラム教学という科目を必修科目として履修させたりすることは、マレーシア人にとって当たり前なことだとみなされ、誰にも反対の声が聞こえない。そもそも反対する人々は恐らくいないだろう。

イスラム教学で学生がイスラム教に関する知識を学ぶことができると言う良い面は事実である。しかも、イスラム教の教えが理解でき、その理解から道徳を持つ人物になった学生達も大勢いる。しかしながら、やはりイスラム教の教えの基で世界を見るようになるので、イスラム的価値観を持っている若者たちが、他の角度から世界を見ることが難しい、ということも恐らく現実である。イスラム教の教えで、イスラム的な考え方で世界を見ないのは恐らくだめなことだと考えられるので、そういう教育を受けた若者たちがイスラム的な考え方を持つことしかできなくなるのである。

これは危険性が高い社会的な現象である。イスラム教学で習った内容は恐らくコンベンショナルな考え方なので、保守主義或いは原理主義には近いものをムスリムの学生達が勉強させたのである。それゆえ、保守主義に近い考え方を持つ若者たちが増えている。で、保守主義的な考え方を持っている団体に入っていてもしょうがないと、著者が思っている。

しかし、世界史をみていけば分かるように、保守主義は個人自由を奪い、そしてアカデミックの自由を制限させ国家の発展を壊してしまう。しかも、保守主義者も恐らく様々な派に所属しているので、派の差異によって競争してしまい、平和を滅ぼす恐れがある。また、ムスリムでない人々もイスラム教の強い社会(国家)に飽きて他の国に移動している可能性もある。これは母国の多様性にとって損である。

それゆえ、著者は保守主義の危機を見逃してはいけないと思う。しかし、著者のようなイスラム教学の教育を受けながら世俗自由主義者である若者たちが恐らく少ない。少数派であるムスリム世俗自由主義者はどうしたら保守原理主義者の力を抑えて、マレーシアの多様性を保障し、なるべくその多様性をより豊かにさせることができるのだろうか、と著者は考えるべきことだと強く思っている。

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